(社)日本奇術協会主催定例公演
「Magic of MAGIC」第17回公演レポート
藤山新太郎一門会  日時2007年4月9日(月)
場所  目白  シアター風姿花伝
チケット 前売り 2700円  当日 3000円
開場 18:30  終演 20:50頃

出演(敬称略)
藤山新太郎 / 和田奈月 / 藤山晃太郎 / 杉原香子
丸山 真一。「クロースアップ」 司会 ナナオ。

第17回は藤山新太郎一門会でした。
恒例のクロースアップから始まりました。

クロースアップ 丸山真一
相当に個性に強いマジシャンなのか、自分を紹介するのに演技が始まる前に6回も丸山真一を連呼してアピールしていた。
プロになって初挑戦と言っていた。
お客さんと勝負に出たらしい(笑) SAMやJCMAで入賞、優勝の持ち主とのことでした。
最初から最後までカードで、風姿花伝のお客様はステージマジックが好きな部分が多いので、カード以外の腕前も拝見したかった。

1部
全体を通して新太郎さんが進行する形で、お話をしながらロープマジック。
お客さんを参加させると見せかけて スタッフを使ったギロチン。
半ばでギロチンの板のロックが出来なかった、悪戦苦闘の感じを出しながら、実は…構成?
定かでないが?
観客をはらはらさせるのは、実に味があります。
無事にギロチンが成功してよかった。

入門3年目と言う杉原香子さん、白のコスチュームで、シルクからピラミッドの演技。
中からシルクやミリオンフラワーを出していた。
前にも新太郎一門としてビーポイントで拝見したことがありました。

藤山晃太郎さん
藤山新太郎一門の優等生として紹介されているが、国立千葉大学に在籍中からアッキーのニックネームで有名人。
学生同士でショーなどを開催していたが、プロを目指すとは思わなかった。
1部では久しぶりに、リングのジャグラー?と思わせるような、スピードある6本リングと形作り。
新太郎さんと一緒に「ひきぬき」「テーブルの上に水の入ったグラス。
フォークとナイフ、料理ののったテーブルクロスを一気に引き抜いたり5段重なったグラスがあり、一段づつにクロスが敷てあって、それを、上から順に布を引きにいてゆく、見事でした。
晃太郎さんが布を引き抜こうとすると、新太郎さんがジャジを入れて邪魔したり、二人の呼吸がピッタンコであった。

和田 奈月
アシスタントを使って、踊りや、マイムを取りいれた演技、キューブボックスが主体ですが、その中にゾンビの演技など有って。
衣装も可愛らしく、笑いありのアートの世界を作り出して 子供達がとても喜びそうな、マジックでした。

2部{和の世界}
晃太郎さんの手妻の世界。
昨年、12月に行なわれた、奇術協会70周年記念に行われたコンテストの入賞作品。
袋卵、セイロから、花、ひよこ出しに続くテンポの良い、歯切れの或る演技はとても惹きつけるものがあり、見得の仕草が素敵と後部席の若き女性の声も一段と高かった。
特に前半は三味線を主体にした曲作り、後半は和楽を感じさせない三味線、笛、鼓のアップテンポな曲にのせて日本せいろ。
学生時代を知っている私としては、この五年の修行の成果を充分に発揮していると思った。

奈月さんの金輪
新太郎さんが以前、青森県五戸にお住まいの和田氏が受け継いでいた伝統芸能「金輪」を保存のために受け継ぎ、新しく研究したものを観賞させていただいたが、それを新たに、奈月さんがご自身で台詞を作り演技として完成させたもの、洋風に言えばリングなのだが、同じリングでありながら前半の晃太郎さんとは全然違う 面白みがあった。
しかし、残念ながら、奈月さんは声が細いので マイクを付けていれば、台詞の聞き取りにくいのが防げたと思うと残念であった、多分、1部の演技では付けていたので、2部では 衣装などの関係で付けられなかったかもしれない。

藤山新太郎さん
息を呑む演技とはこんな演技を言うのだろう。
それは決して大きなイリュージョンではない、長さ僅か4〜5センチの数本の針を飲み込む演技であった。
洋物ではカミソリの演技があるが。
それより、遥かに小さい細い針の存在が大きく見えた。
音も使わず話もせず。
観客全体が静寂の中に引き込まれ、じっと。
新太郎さんの手元、口元の動きを追っていた。
決して迫力でない、圧迫感であった。
観客は新太郎さんの一挙一動に目が離せず、針に糸が通って出て来た時、自分が演技者で無事演技を終えたような、安堵感を覚え芸の素晴らしさに、夢中で拍手をしていた。
素晴らしい一言である。

ラストは「蝶のたわむれ」
何回も紹介されているので、敢えて、不要だが、今回は、蝶が飛んでいる状態で客席まで降りてきた。
助手に晃太郎さんすみれさんが和蝋燭で照明の係りをしていた、いままで、何回も「蝶のたわむれ」を観賞したが、風姿花伝の趣向は初めてで、圧巻であった。
今回、日本奇術協会の副会長に就任した。
今の協会内部で芸。話術。そして文章の書き手。
和妻の研究と一段と優れた才能の持ち主の評判が高い。
協会の人材育成事業が始まって以来17ヶ月、初めての藤山新太郎一門の出演であった。
藤山新太郎師の存在は日本和芸の宝かもしれない。                        
                                                     だるま